花が咲く頃にいた君と
顔が熱い。

体が熱い。


全部、全部、横峯の野郎のせいだ。




顔を真っ赤にしながら、大股で廊下を歩く。


けど瞬間、視界が揺らいで窓枠に手をついた。




頭がぐらぐらする。


心無しか、呼吸するのもしんどい。



健康だけが取り柄のあたしが、体調を崩すわけがない。




自分の体調不良を気のせいにして、また廊下を歩き出す。



今は授業中、ぼんやり廊下の窓から外を見れば、体育の授業でどこかのクラスがサッカーをしていた。




何故、認めてしまったんだろう。


確かに東向日の傍は居心地が良くて、自分から傍に居たいと思った。


それに、東向日に捨てられたら、あたしには行く場所が他にない。



けどそれを恋愛に繋げるのはどうかと思う。



気持ちをちゃんと整理して、“恋”というものについて考えてみた。





「結女!!!!」




授業中の廊下。


誰かが、あたしの名前を叫んだ。



ここが特別教室の連なる廊下で良かった。


って思ったのは、もっと後のこと。




「ひがしむこー」



びっくりして振り返った。


見開いた目を何度もしばたかせていると、東向日は凄い速さで、どんどんあたしの元へ駆けて来て




…次の瞬間、体が鈍痛に見回れた。



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