花が咲く頃にいた君と
いつものあたしなら、逆ギレしてる。


けどしないのは、“東向日の心配”がちゃんと伝わってくるから。



声を荒げてあたしを怒ってくれる。



ずっと捜してくれてたんだね?


乱れた呼吸も、熱い身体も、早い鼓動も、何回目かな?




「ごめんね」



だからあたしは、素直に謝れる。



「許さない」

「はっ?」


ギューッと抱き締められて、発した言葉はくぐもった。


「ずっと僕の傍に居るって誓って」



瞬間、顔がボッと赤くなって


いままで落ち着いてた心臓が、嘘の様に、早鐘を鳴らした。



東向日の考えてることが全くわからない。


これだから、天然は…


「それは、東向日があたしに、傍に居て欲しいってこと?」

「そうだよ、」

「どう、して?」


あれ?声が震える。
あれ?体が震える。


抱き締められた体、痛いことすらわすれそう。




「君が必要だ」


どうしてあたしが必要なの?



「何で、何で、あたしなの?」



東向日はどんな気持ちを描いているの?


東向日もあたしと似た様な、感情を持ってるの?



胸が変に高鳴っている。
あたし変だよ。
東向日の口から、何て言葉を聞きたいの?




「どうしても、お金が必要なんだ」



切な気に吐き出された言葉。


あまりの意味不明さに、目が点になった。



そして音もなく、あたしの心は粉々に割れた。



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