花が咲く頃にいた君と
「あんた最初から…」

「知ってた、じゃないと誰が近づくかよ」



舌打ち混じりに吐き出された言葉


相当イライラしてるらしい。



「お前の、母親は“東向日財閥の令嬢”だった。

何が不満だったんだか、ある日忽然と姿を消した。

やっとの思いで娘の居所を掴んだものの、娘は死んでて

その変わりにお前が、産まれてた」


柊はあたしの知らないことを、教えてくれる。


けどそれは親切とは程遠い。



「何で、そんなこと…」

「知ってんのかって?」


言葉は遮られ、続けられた。

柊は嘲笑う様に、あたしの前に腰を屈めた。



「この物語には続きがある。娘が失踪して、行方が掴めない。

東向日財閥の総帥、東向日朋哉、お前の母親の父親、つまりお前の、祖父は心を病んで、2人の養子をとった


けどその2人は、どちらとも“男”だった

その養子の一人があの根倉だ」



何となく話は見えた。


けどそれで、なんであたしと大金が関わってくるのか


柊達が関わっているのか、まだ糸は繋がらない。


「お前の祖父がつい先日倒れて、こう言ったんだ“孫の顔がみたい”って

それで連れてきた方に、財産の全てをやるんだとよ」


「だからって、あんたに何の関係が…」

「もう一人の養子と約束してる。お前をそいつの元に連れて行けば、金が手に入る」



意味、わかんない。


どいつもこいつも“金”って…



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