花が咲く頃にいた君と
抱き締められた。



閉じ込められた。



言葉なんて要らない。



“何があったって、結女を捨てるわけ無いだろ”

“俺がお前を飼った”

“君が必要だ”



もうどんな言葉も信じない。





「これは、ふゆちゃんが俺を選んでくれたって、取っていいんだよね?」



衣夜さんの腕の中、無言で頷いた。




「俺、ふゆちゃんが好きすぎて…。もう、どうしようも無いんだ。閉じ込めていい?」

「どういう、意味?」

「学校には行かないで、外にも行かないで、ずっと俺の傍に居てよ」




もう誰にも捨てられたくなかった。

もう誰にも嫌われたく無かった。



あたしはまるで“人形”の様な条件を飲み込んだ。



もし衣夜さんに嫌われたら、今度こそ行く宛など無い。



投げやりな自分と、必死な自分。


両方があたしの中でせめぎあっていた。




「いいよ」



けど、その時のあたしは、全てが建前で、


ただもう、学校に行きたくない。



そんな気持ちでいっぱいだった。


どこまでも弱くて、子供なあたし。



大嫌い。




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