花が咲く頃にいた君と
「あくまで期限付きだ。いいな」


俺は真剣な冬城十夜の瞳に、しっかり頷いていた。


「でも何で俺の“事情”を…」

「“東向日”に関する情報なら、俺はなんだった知ってる。結女はあの“東向日”の血族だからな。

いつ、何に、巻き込まれるかわからない。その“東向日”の情報の中にお前がいたからな、色々と調べさせてもらったんだ。

最初は焦ったぜ。10何年も経って東向日家の人間が、“結女”を拐かしに来たのかってな…。」



俺は拳を握り、俯いた。


どこか遠くで救急車の、サイレンの音が聞こえる。



「けど、なかなか“東向日”は結女を手を出してこねぇ…。」

「俺は!」

「ただのヘタれか、それとも…」


俺の言葉を遮り、冬城十夜は、面白くなさそうに新しいタバコを取り出した。



「お前に“結女”はやらねぇよ。けどもし、結女が望むなら…

いやまぁいい。
とにかく、期間限定だ。それまでに、金を手に入れろ」



< 166 / 270 >

この作品をシェア

pagetop