花が咲く頃にいた君と
それは疑問出はなく、諦めの断定だった。



「血は繋がってないらしいが、大切な“妹”なんじゃねぇのか?」


鬣(たてがみ)みたいな、金髪が揺れた。



「何もねぇみたいな顔すんな。お前は、色んなもん背負ってんだよ。重かろうが、うざかろうが、男なら大切なもん下ろすな!しっかり抱えろ!」



心の奥、何もかもどうでも良くなったものが


引きずり出されたみたいだった。



「その目でお前は、何を見てんだよ。金か名誉かプライドか?

んなもん捨てろ!お前が心から望むのは妹の“命”だろうが!」



素手で殴られた様な、衝撃が走った。


心に出来た壁がぶち壊されて、目が醒めたようだった。


目の前のライオンが、途端にクリアに見えた。



脳裏に重なったのは、小夜の笑顔と結女の泣き顔。



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