花が咲く頃にいた君と
俺は自分の頬を思いっきり殴った。


それを見た冬城十夜は、楽しそうに口角を上げた。



「やっとまともな面になったな」



冬城十夜を見据えたその瞳


静かな決心を秘めた。



「結女を取り返せたら、今までのことチャラにしてやる」


煙を吐き出しながら、冬城十夜は部屋を出て行った。



俺はそんなライオンの背中に、一礼して口の端から流れ出る血を拭った。



「初川さん」


俺の呼び掛けに、何処からともなく初川さんは、部屋に顔を出した。



「結女の居場所、調べてください。これより、彼女を奪還します」



俺の命令に、初川さんは嬉しそうに、はい、と一言頷いた。



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