花が咲く頃にいた君と

Doll

その洋館は、どこか東向日家のそれと作りが似ていた。



あたしはあの日から、ずっと屋敷に閉じ込められている。



もうかれこれ2週間は経つだろうか。


なんて、窓の外、空を自由に飛び交う鳥達を見ながら思った。



ここでは何にもしなくて良かった。


勝手にひらひらふあふあの服を与えられ、勝手にお姫様みたいな部屋も与えられた。



欲しいものを言えば、何でも手にる。



初めはちょっと優越感に浸った。


しかしそんな生活は、半日も経たないうちに飽きた。



今までずっと学校とバイトの往復で

特に趣味もなかった。


だからこんなに時間を持て余すと、何をすればいいのかわからない。



ただ思うのは



学校へ行って、あのバカな連中と笑いあいたい。


お金稼ぎに必死になって、体を動かしたい。


東向日に会いたい。




それが今のあたしの三大欲求になっている。



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