花が咲く頃にいた君と
自分で選んだことなのに…


空を飛び回る鳥達が羨ましい。



あたしは俯き、頭を軽く左右に振った。


籠の中を選んだのは、あたし。



ならば、後悔することは間違っている。




「失礼します」



部屋がノックされ、メイド服を来た女性が入って来た。



「昼食でございます」



ワゴンがわたしの隣までやってきて、テーブルの上に食事が並べられていく。



見た目は美味しそうなのに、口に運ぶとなんの味もしない。



メイド姿の女性は、あたしがここに来てからずっと世話をしてくれているが、話したことは一度もない。



何だか、ロボットの様に、業務をこなす女性はまるで、初川さんとは違う。




女性が部屋を出て行った後、あたしは黙々と食べたが



結局、半分以上食べられずに、残してしまった。


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