花が咲く頃にいた君と
東向日 side


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きっと、努は嫌がるかもしれない。


それでも彼女を奪還するには、努の協力が必要だ。




俺の心はもう迷っていない。


結女も小夜も助ける。


結女には小夜のこと、ちゃんと話して東向日 朋哉に会ってもらおう。



きっと、彼女なら解ってくれるはずだ。




結女の苦笑いが目に浮かぶ。



だから、今朝はもう自分を取り繕うのを辞めた。


邪魔だった前髪も、眼鏡も全て取っ払ってやった。


今日は俺の気持ちをちゃんと示す為に、努の目を逸らさないように話そう。



そう心に決めていた。


「1時間目、サボらないか」


教室に入ってきた努にいきなり話し掛けると、流石に少し驚かれた。



「あぁ、校舎裏でいいだろ」


断られるかと思っていたが、案外あっさりと受け入れられた。



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