花が咲く頃にいた君と
「いや~毎年お前が誕生日を迎える度、言おう言おうと思ってたんだけど、結局言えなくてさ~。
あぁ~言えてすっきりした」


いつもの様に十夜は笑い声を上げて、さっきまであたしの手を握っていた手で頭を掻いた。



あたしの目は、点だ。


「結女、起きろ」

「ま、待って…じゃ、十夜があたしを、じゅ、じゅうごで産まれたの?」

あたしの瞳は忙しなく揺れ続けた。
そんな動揺しまくりのあたしを見られたくなくて、片手で前髪をくしゃりと掴んだ。

きっと、あたしをこんなに動揺させられるのは、世界中探しても、この男だけだろう。


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