花が咲く頃にいた君と

動き出した世界

毎日、30分だけ屋敷の庭に出ることが許されていた。


だからって、特別何かをするわけじゃない。



ただバルコニーでお茶を啜りながら、花々を眺める。


けどどれも目に映るものは、価値の無いもの。


眩しい太陽も、綺麗な花々も、美味しい紅茶も、甘いお菓子も、何も言わないメイドも


ただ全てがそこに存在しているだけ。




よく“色を無くした世界”って例えをするけど

まさにその通り。


色は感じる。
けど感情を感じない。


あぁ、これが“モノクロの世界”ってことなんだ。




ただ無感情に時だけが過ぎていく。




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