花が咲く頃にいた君と
「如月が待ってる!

俺等と一緒に来い!


如月に会わせてやる!」


あたしの心に響く言葉。


“如月”



あたしが幻覚ですら、会いたいと思ったのは


如月



「如月の元に帰ってこい!」



泣きそうになった。



気づいたら、あいつの手を取っていて。


グイッと引き寄せられた。


柊が横に付けていたお面を、正面に被り直すと


同時、走り出して


再びメイドの悲鳴が、背後から聞こえた。


何の合図もないまま凄いスピードで走り出され


あたしは前につんのめりながら

何とか転ば無いようについていく。



広い敷地の中、50mは走ったと思う。



たどり着いたのは、小さな裏口。

そこは使用人専用出入口で

暗証番号とパスガード無いと入れない。



――…はずなのに



奴は簡単にそれを開けてしまった。



「待て!!」


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