花が咲く頃にいた君と
午後2時5分、3分前

俺達は門の監視カメラの死角に忍んでいた。


ぴったりと体を塀にくっ付け、その時が来るのを待っていた。


『今より、ミッション開始のカウントを始める』


耳に嵌め込んだ無線からは、如月の無機質な声が聞こえた。


『10秒前、5秒前、4、3、2、1、O』


無線がプツリと切れて、俺たちも塀から飛び出した。


半拍遅れて、監視カメラの視界をペイントガンで塞いだ。


ペイントガンはこの日の為の特注品だ。


つまり、非売品。


数m離れたどこかでは、東向日が監視カメラの映像を、録画したものに切り替えているはずだ。


セキュリティにアクセスして、門の鍵を開けるまでが如月の役目だ。


けれどここのOSだってそんな甘かない。

ハッキングできたってたかだか数秒、後は俺達のチームワークにかかっている。



ロックが解除された門を手動で無理矢理こじ開ける。


「案外、早いな」


何とか侵入出来た直後、守衛達がこちらに向かってかけてくる。


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