花が咲く頃にいた君と
手加減も無しに、走った。


冬城が転ばなかったのは、奇跡かもしれない。


予め用意されていた、使用人専用出入口のカードキー。


この屋敷にも、如月を手引きした奴がいるのだろう。


赤いランプが点滅後、緑のランプへと切り替わる。


そのタイミングで、伊吹と横峯の姿を確認した。


腰にはこれまた特注品のペイントガンの弾が、何発か残った状態のままだ。


「ずらかるぞ!」


マシンガンのマズルを天高々に翳す。


それが合図だったように、伊吹と横峯は残りの弾を撃ち尽くした。


「何、ボサッとしてんだよ!行くぞ!」


その光景を呆然と見つめる冬城を、無理矢理引っ張って外へと連れ出した。


勝手口から出ると、黒いバン目の前で急停車


「乗れ!!!」


まだ状況がいまいち把握出来てない冬城は、立ち尽くすばかりで

半ば押し込むようにして車へ乗せた。



直ぐに二人も乗り込み、車は急発進した。



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