花が咲く頃にいた君と
「覚えてる?

結女ちゃん“また明日ね!”って、帰っていったのよ

けどいくら待っても、その“明日”は来なかった。
私、ずっと待ってたの。ずっと会いたかったの」


一途な心、純粋な想い、無垢な世界と背中合わせなゼロの世界


やっぱり、あたしたちは出会うべきじゃなかった。



「小夜ちゃん。信じちゃ駄目じゃん。世界は全部が全部、本当とは限らないんだから」

「え?」

「小夜ちゃんが一番知ってるでしょ?あたしが冷たい人間だって、あたしはあの頃と一ミリも変わってないんだよ」

「結女ちゃん?」

「気まぐれなんだよ、あたし。けどこれは本当、小夜ちゃんを“あたし”が助けてあげる

だから、速く元気になってね」



もしもあたしたちがこんな出会い方をしなかったなら

今頃、学校なんかで席を並べられていたのかな?


そしたら、ずっと離れずにすんだのかな?


「待っててね。小夜ちゃん」



笑顔が作れなかった。



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