花が咲く頃にいた君と
花冠のお爺さん
フラフラになりながら、東向日を引っ張った。
「行こう。速く例の人に会いに行こう」
「あっ、あぁ」
東向日はあたしを支えようとしてくれたけど、何度も振り払った。
もう、朋哉さんに会えば
用済みなあたしに構わないでほしい。
それに小夜の死を恐れ、逃げ出したあたしを構う必要なんてない。
ちっぽけなプライドと沢山の罪悪感で、その温かい手を取ることができなかった。
朋哉さんがいる病室は、小夜がいる病棟のもう一つ向こうの病棟だった。
渡り廊下を渡り、個室が建ち並ぶ中の
最も特別とされる5階に朋哉さんの病室はあった。
廊下の窓からは、良く小夜と遊んだ芝生の庭が覗けた。
「失礼します」
三回のノックの後、東向日は躊躇いもなくその重い扉を開いた。
東向日に続いて部屋に入ると、思っていたよりもそこは狭かった。
他の病室よりも小さい窓、それに添って置かれたベッド。
特別室と言うだけあって、ベッドや壁、テーブルなどは他の病室とは、比べ物にならないくらい、高級感溢れていた。
けれど、とても寂しい病室だった。
ようやく、ここが病院なんだと、病室には似つかわしくないここで自覚した。
「行こう。速く例の人に会いに行こう」
「あっ、あぁ」
東向日はあたしを支えようとしてくれたけど、何度も振り払った。
もう、朋哉さんに会えば
用済みなあたしに構わないでほしい。
それに小夜の死を恐れ、逃げ出したあたしを構う必要なんてない。
ちっぽけなプライドと沢山の罪悪感で、その温かい手を取ることができなかった。
朋哉さんがいる病室は、小夜がいる病棟のもう一つ向こうの病棟だった。
渡り廊下を渡り、個室が建ち並ぶ中の
最も特別とされる5階に朋哉さんの病室はあった。
廊下の窓からは、良く小夜と遊んだ芝生の庭が覗けた。
「失礼します」
三回のノックの後、東向日は躊躇いもなくその重い扉を開いた。
東向日に続いて部屋に入ると、思っていたよりもそこは狭かった。
他の病室よりも小さい窓、それに添って置かれたベッド。
特別室と言うだけあって、ベッドや壁、テーブルなどは他の病室とは、比べ物にならないくらい、高級感溢れていた。
けれど、とても寂しい病室だった。
ようやく、ここが病院なんだと、病室には似つかわしくないここで自覚した。