花が咲く頃にいた君と
昨日散々殴り飛ばした十夜は、今朝忽然と姿を消していた。
いつも十夜の布団が引かれていたスペースには、ちゃぶ台が置かれていた。
その上には、鍵とあたしと十夜が映る写真が一枚。
置き手紙の1つも無かった。
十夜が居ない朝。
別に普通のことだ。
十夜はホストで昼夜逆転生活が当たり前。
なのに、ボロボロの窓から射し込む朝日も、
置き去りにされた写真も、
部屋の隅に畳まれた十夜の布団も、
何故かいつもと違って見えた。