花が咲く頃にいた君と
あたしは帽子を拾い、小夜へと手渡した。


同じくらいの年代の女の子。


あたしには友達が居なかったから、誰かと話したいと思った。

そう、同じくらいの年代の女の子と。


「名前何て言うの?」


動機は何にしろ、小夜も同じ気持ちだったんだと思う。



お互いの名前を知った後は、打ち解けるのにそんなに時間は必要なかった。


どんな色が好きだとか
あの雲はハンバーグに似てるとか
当時流行っていた少女アニメやら


話が尽きることはなかった。



けど、どんなに誘っても、小夜は運動だけはしなかった。



話をするだけで、それなりに満足だった。


学校で苛めを受けて、身も心もボロボロだった。


けど小夜だけは、あたしと居て笑ってくれる。

それだけでどれだけあたしは救われたことだろう。


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