花が咲く頃にいた君と
「今日は私のお兄ちゃん達を紹介しまーす」


いつもの様に、病室に訪れると

小夜はあたしと同い年の、三人の男の子を紹介してくれた。


名前や顔、はっきり覚えていなかったけど、きっと彼らが柊たちだったんだと思う。



三人共、とても小夜を心配していた。

いつも通り庭に出た時も、小夜を心配して声を掛けていた。


7才の子供が他人を気遣い、心配するなんて、とても出来ることじゃない。


彼らは養護施設の育ちだと言っていた。


そしてその中でも一番印象に残るのは、とても落ち着いた男の子だった。


遊ぶ時は、普通の子と変わらないのに

小夜の側に居るときだけ、凄く落ち着いて、同い年とは思えなかった。


今思えば、彼らは知りすぎていたのかもしれない。


今日元気だった人が、明日には居なくなる。


そんな当たり前の様で、当たり前でない“死”を

彼等は身近に感じていたのかもしれない。


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