花が咲く頃にいた君と
それから何度か、その三人と遊ぶ様になって

あたしは幼いながらに、恋をした。


元気にはしゃぎながらも、小夜に寄り添う男の子。



あぁ、多分そうだ。

あたしは柊 努に恋をていたんだ。


それは恋と呼ぶには拙くて、あたし自身その感情を、なんと表現すればいいのか解らなかった。




「何してるの?」


いつもより顔色の良い小夜が、庭の芝生に座り込んでいた。

あたしは俯く彼女を覗き込む。



「花冠!作ろうと思って」


だけど作り方なんて知らないのか、適当に編まれたシロツメクサは、パラパラと落ちていく。



「上手く出来ない」


小夜が眉を下げて、呟いた。


あたしは女の子だけど、花冠何か作ったこともないし、興味もなかったので、もちろん作り方なんて知らない。



その時だった。



小夜の麦わら帽子が、あの時の様にフワリと風に舞い上がってしまった。


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