花が咲く頃にいた君と
次の日も、次の日も、作ってみたけど


上手く出来なくて


多分2週間くらいたった夕方


小夜がようやく、花冠を完成させたんだ。


その日の小夜は、顔色が悪くて、正直庭に出るのも辞めた方がいいと思ったくらいだ。


けど懸命に、花冠を作りたいと言う小夜を止められなくて結局外に出てしまったのだ。



「誰にあげるの?」

「努お兄ちゃんに!」

「努くん?」

「わたしを一番心配してくれてるから」



花冠を編みながら、小夜は話してくれた。


その時、何となく分かってしまった。小夜にとって努は特別な男の子なんだと


果たしてそれを小夜が自覚していたのかはわからないけど

あたしはチクッ胸が痛くなったのを覚えている。


小夜はきっと花冠に沢山の気持ちを込めたに違いない。


そうして、長い時間かけて出来上がった花冠。


「出来た!」



小夜は本当に嬉しそうに立ち上がり、花冠を胸に抱いた。


「これ、おじさんに見せてくる!」


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