花が咲く頃にいた君と
けどベッドの上で苦しむ小夜を見て

怖い以上に何とかしてやりたいと思った。


しかし無力な自分に、出来ることは何もない。

ならせめて、小夜が努に怒られない様に、してあげよう。


そんな安易な発想だった。



そして駆け付けた三人は


“小夜ちゃんの手を引っ張って走ったのは、あたし”


あたしの話を聞いて顔色を変えた。



“お前、自分が何したのか解ってんのか!?”

“この、人殺し!!”



怖かった。小夜があたしの知らない小夜みたいで

怖かった。小夜の死を間近に感じて


怖くなった。小夜が死んでいたかも知れないと、自覚した瞬間。


あたしは、震えた。



“人殺し”


努の憎悪に満ちた眼差し。


それが“死”が背中合わせにあるのだと、感じさせられた言葉だった。



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