花が咲く頃にいた君と
正体
三日間眠り続けていたらしいあたしは
意識がはっきりした瞬間、夢ではなく現実、その場に居た十夜の
胸ぐらを掴んで、自分の方へ引き寄せた。
「どういうことか説明しろ…」
自分でもビックリするくらいの低い威圧的、声
「まぁ、落ち着け」
しかし十夜は全く気にしてない。
それどころか軽くあしらい、あたしをベッドへ押し戻した。
「どこから話そうか…」
顎に指をかけて、十夜はさも考えているフリをする。
「そうだな。初めから、結女が産まれる前から話そ」
始めから決めてたんだと思う。
多分、ずっとあたしが聞きたくて堪らなかった話。
そしてずっと十夜が、話したくなかった話。
「結女の母親はな、」
そんな話し出しから始まった
十夜と“お母さん”の思い出話は、十夜にとってまだ“思い出”になんか出来ない話
だって十夜の瞳は、憂いを帯びて
今にも涙が溢れてきそうだったから
意識がはっきりした瞬間、夢ではなく現実、その場に居た十夜の
胸ぐらを掴んで、自分の方へ引き寄せた。
「どういうことか説明しろ…」
自分でもビックリするくらいの低い威圧的、声
「まぁ、落ち着け」
しかし十夜は全く気にしてない。
それどころか軽くあしらい、あたしをベッドへ押し戻した。
「どこから話そうか…」
顎に指をかけて、十夜はさも考えているフリをする。
「そうだな。初めから、結女が産まれる前から話そ」
始めから決めてたんだと思う。
多分、ずっとあたしが聞きたくて堪らなかった話。
そしてずっと十夜が、話したくなかった話。
「結女の母親はな、」
そんな話し出しから始まった
十夜と“お母さん”の思い出話は、十夜にとってまだ“思い出”になんか出来ない話
だって十夜の瞳は、憂いを帯びて
今にも涙が溢れてきそうだったから