花が咲く頃にいた君と
如月はな、全然脅威でも何でもなかった。


あいつは、お前にどこまでも誠実だ。
むしろ脅威なのは、衣夜の方だ。



あいつは金の為なら手段を選ばない。どんな汚い手を使ってでも、爺さんの前にお前を差し出すつもりだったんだよ。


そのせいで、結女が傷付いてしまったら…



何が何でも衣夜に渡すわけにはいかなかった。




けどそんなある日、知ってしまったんだよ。


如月の遺産が欲しい理由。



“妹の病気を治してやりたい”




こっちは大切な人喪ってるからな、救えるのであれば、間接的にでも誰かの死は見たくなかったんだ。


だから、すまなかった。



お前を如月に差し出した。



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