花が咲く頃にいた君と
あたしに名前をくれた人

会ったことも、触れたこともない人



初めてお母さんがどんな人か聞かされた。


物心ついた頃には居なかった存在。だから、記憶も何もないけれど



見知った誰かを亡くすことはとても悲しいこと

その人の話をすることは、もっと悲しいこと



2人からそれがリアルに伝わってくる。



知りもしない人なのに、妙に血が騒いで、悲しくて悲しくて堪らない。



けど2人の知るお母さんの話を聞いて

悲しみの中に混じって喜びが産まれる。



お母さんの話を共有することで、沢山の悲しさを少しだけ埋められる気がしたから。



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