花が咲く頃にいた君と

十夜の突然

また“今日”がやって来た。


朝日が射し込み

その眩しさに、布団の中で身体を捻る。



いい加減、カーテンを買おうと思うけど

すりガラスに、カーテンなんて必要ないか、と思い直す。




立て付けの悪い窓を、力強く押し上げると

朝の新鮮な空気で部屋が満たされた。


朝日に向かって深呼吸、ふと目にした電線には数羽の雀が止まっている。


何も変わってない朝の風景に、安心の笑みが溢れる。



「ゆ、め…」



台所に立った時、布団がもぞもぞと動き

しゃがれた声で名前を呼ばれた。



「お昼は冷蔵庫に入ってるから!温めて食べて!じゃ、行ってきます!!」



あたしは自分で作ったお弁当を片手に、ローファーに足を突っ込んだ。



慌ただしい日常、これがあたしの当たり前。



「行ってらー」



階段を駆け降りて、道路に出ると、窓から眠そうに欠伸をした十夜が手を振ってくれた。



「行ってきまーす!」


あたしは大きく手を振って満面の笑みを浮かべた。



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