花が咲く頃にいた君と
どんくらい経っただろう。

5分だったかもしれないし、1時間だったかもしれない。


ずっと目を瞑っていたせいで、瞼の裏に浮かぶ星を何回も意味無く数えた。


ずっと耳を塞いでたせいで、ドクンドクンと脈打つのが聞こえた。



その時だった。



また近くで、足音が聞こえた。



もしかしたら、人間じゃないかもしれない。


なんてあり得ない妄想ばかりが、先走って“助けて”と訴えることも出来ない。



その間にも足音はどんどん近付いてくる。



より一層、固く目を瞑り、耳を塞いだ。



そして足音が止まった。



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