花が咲く頃にいた君と
学校への道、ひたすら沈黙だった。


柊は話さず、あたしも特に話さず。



どんどん学校に近付いているのか、同じ制服の生徒が多くなってきた。



「あの、もういい?」



生徒が増えてきた。


見られる視線も、比例して増えてきた。



このままでは“援交”とか以前の問題だ。



柊親衛隊に、見つかったら。


確実にぶち殺される。


考えただけでも、おぞましい。


あたしの高校ライフが。


それを回避するために、あたしは横を歩く柊に無表情に問い掛ける。



柊だって、わかってるはずだ。



このままあたしの身が危ないことくらい。


なのに、


「ヤバイよね~。俺と歩いて、尚且つ“援交”なんて噂流されたら」


何だろうこの男。


逃がすまいと捕まれた腕、ギリギリと柊の指が食い込んでくる。


痛くて思わず顔を顰めると、彼とあたしの距離はなくなった。


微かに感じる、


柔らかくて温かい、柊の唇。



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