花が咲く頃にいた君と
柊はあたしの足から手を離すと、股間を庇いながらゆっくり立ち上がった。


あたしも立ち上がる。



黒いスカートを、パンパンと払う。


「俺のは潰されなかったけど、ふゆちゃんは潰れたね」


あぁ、お尻からあなた悪魔のテイルが生えてますよ。


あたしには見えます。



「どういう意味かな?」


負けずあたしも笑みを浮かべてみる。


柊は、転んだ弾みに飛び散ったあたしの朝食を拾い上げた。



「周りを見てごらん?」


言われるままに、見渡した。


あぁ、通りを歩く女子という女子が全員あたしを睨んでる。


「あたし、視力悪いから見えないわ」



鼻の下、何か伝う感触があった。


「つまり、俺たちから逃げられなくなったってこと」



柊は真っ白のカッターシャツ

捲り上げてたのを下ろして、あたしの鼻の下を拭う。


その部分が真っ赤で、鼻血が出ていたことを知る。



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