花が咲く頃にいた君と
「もちろん、引き受けるよな?」

「嫌です。関わるな変態」


グイッと顔を近付ける横峯に冷たく言い放った。


「噂なら、俺らが用意したのが、まだまだいっぱいあるけど」

「誰も聞きゃしない」

「俺らが見たって言えば?俺らが被害にあったって言えば?」

「さぁ、センコウはどっち信じっかな」



三人衆の顔がじりじりとあたしに向かってくる。

あたしは壁に追い詰められて、これ以上後退りできない。



彼等と対峙していた。
その瞬間、あたしの目にはとんでもないものが飛び込んできて、時間が止まった。


『えっ、やだ!』

『きゃっ!あれって…』

『速く知らせなくっちゃ』



たまたま曲がってきた、女子生徒三人組。


ばっちり目が合った瞬間彼女達は固まり、そして跳ね上がり、あたしたちの前から姿を消した。


あたしの顔からは血の気が引いていく。



「あぁ、もう引き受けちゃうしかないっしょ」

「見られたしな」

「もう、噂になってるだろうね」




“俺らを手玉に取る女”



ちょっと待ってよ。何この悪夢。



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