花が咲く頃にいた君と
“俺たち、バイなんだ”

“そろそろ女に飽きたし”

“だからお前、俺たちの盾になれ”



目眩がする。


もうカミングアウトなんて、聞きたくないわ、ボケ!



思った通り、教室に入った瞬間から


『イケメン三人衆を手玉に取る女』


として冷たい、鋭い…いや、人を殺せそうな眼差しで多数の女子から睨まれた。



「ふゆちゃん」

「ふゆ」

「ふゆちん」


重なる彼らの声に、黄色い悲鳴が上がる。


あたしはそのまま、引き寄せられて、抱き上げられて、



端から見たら逆ハーレムですよ。


突き刺さる女子の視線に殺される。


けど、実際は


「隆司くんにヤらしてくれないか聞いて来てよ」

「俺は富山な」

「あぁ、男鳴かせて~」

彼らの欲求不満の声を聞いてるだけ。



甘い囁きなんて、あるわけないでしょ。


あったらあったでキモいことこの上ないけれど。


「近寄らないで下さい。変態さんたち、あたしものすっごく睨まれちゃってますんで」



彼らはあたしの肩に手を置いて

「何いってんの?」

「それが君の役目でしょ?」

「女を俺たちの近付けさせるなよ」


口々に偉そうなことを言ってくれやがる。



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