花が咲く頃にいた君と
昼休み、案の定、伊吹の親衛隊に呼び出された。


見たところ、10人近く。


あたしを取り囲んで、次々に罵声を浴びせて


蹴られた。



「正当防衛、成立」


あたしはニヤッと笑って暴れまくる。




あたしの安静な高校生ライフを返せ!


とばかりに、知らない女子を殴り上げ、蹴り飛ばす。



「これに懲りたら、二度とあいつら三人に近づくな」



地面に這いつくばる彼女達を、ジッと見つめて言い放つ。


絶対零度の心。



もう二度と、誰かをこんな瞳で、見ることはないと思っていたのに。



“結女ちゃんの瞳、怖いよ”



遠い過去、過ぎる誰かの言葉。


思い出した様に表情を取り繕った。



「うわぁぁぁーーー!!」


雄叫びを上げて、誰かが突進してきた。


多分、床にひれ伏していた女子の一人。



あたしは反応出来なくて、髪をグッと捕まれ



ハザ!



いつの間に手にしてたのか、ハサミで髪を切り落とされた。



1つに結っていた長い長い黒髪が、スローモーションに地面に落ちた。



一瞬の沈黙の後、誰かが笑いだした。


あたしを嘲笑うように、勝ち誇ったように。




耳障りな甲高い笑い声。


「これ、あんたらで処理しといて」


髪なんていくらでもくれてやる。


満面の笑みを貼り付けて、彼女達に言いはなった。



勝つのはいつでもあたしなんだよ、ボケ。


内心毒づきながら、呆気に取られる彼女達を残して教室へ戻った。



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