花が咲く頃にいた君と
人が照れることを、サラッといってのける男。


天然とは厄介だ。



「東向日くんって天然~!」


日高にバシバシ背中を叩かれ、東向日はあわあわしてた。


「えっ?何で君、僕の名前覚えてるの?」

「当たり前じゃん!クラスメイトなんだし、名前くらい知ってる~!」



東向日の白磁の肌が、赤に染まっていく。


それをただ黙って見つめてた。


その前髪のすき間から見えた瞳。


それはまっすぐに、日高を映していた。




あたしを映す、余地がないほどに。




「なに、あの根倉~」

「あの女とお似合いじゃん!」

「ブスはブス同士」

「立場わきまえろっての!」



気持ちが沈んでいた。

同時にイライラした。


あたしに聞こえるように、わざと大きな声で叩かれた陰口。


いつもなら無視するよ。


けど今のあたしは、機嫌が心底悪いんだよ、ボケ!




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