億万色Love
淡い期待
「おかえり」
「ただいま。…あれ、ご飯こっちで食べたの?条地家のみんなは?」
珍しく七元家のキッチンで作業している母さん
食卓には食べ終わった食器などが置いてあった
「今日はね、春人くんの会社の用事で条地家は留守なのよ。遅かったね。何かあったの?」
「ううん、ちょっと大学に残って勉強してただけ」
「そう。もうみんなは食べちゃったから、凜も早く食べなさい。用意できてるから、荷物置いてきて」
「はい」
条地家は留守か……
ってことは陽介くんもいない
少しでも早く謝りたかったのにな…
今日は無理そう
「いただきまーす」
荷物を置いて、着替えてからようやく食事にたどり着いた
「あ、そうそう。あのね凜」
「ん?」
まだキッチンで洗い物をしていた母さんが笑顔で話し掛けてきた
「連ね、今陽介くんと勉強してるのよ。」
「勉強?」
「そう。連ってS大狙ってるでしょ?S高に入れたんだし、一年生の今のうちから猛勉強するんだってさ。ダメもとで陽介くんに頼んだら快く引き受けてくれたのよ。国際科だから、最高の先生が連の近くにいたってわけ♪」
「ふーん…、大変そぉ」
「でも陽介くんも"自分の勉強にもなる"って言って、やる気満々だったわよ。」
「そうなんだ」
あの陽介くんが"やる気満々"ねぇ…
なんとも似合わないセリフ
っていうか連クン……
S大の外国語学部に所属している人がもう一人ココにいるんですけどぉ…
しかも、陽介くんより近い存在
まぁ、頭脳的には………断然遠いけど
私なんて眼中にないってか
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