風邪
がちゃり、と音がした後、静かにドアが開いた。

毬花は雅紀から渡されている合い鍵を使って部屋に入った。

ベッドに近寄ると、汗ばんで苦しげに呼吸する雅紀の姿があった。

心なしか眉間に皺を寄せて眠っていた。

毬花は雅紀の汗をタオルで拭って、来る途中に立ち寄った店の袋から冷えピタを取り出し、雅紀の額に乗せた。

そして静かに立ち上がるとキッチンに向かい、お粥作りにとりかかった。
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