風邪
「はい、あーん」

―――雅紀は風邪を引くと年上とは思えないほど甘えたになる。そこが可愛いんだけどね。

そんなことを考えながら少しずつ雅紀の口にお粥を運んだ。

「ごちそーさん。美味かった」

「それは良かった。じゃあお薬飲んでね」

水と風邪薬を雅紀に渡して、食器を洗いにキッチンに向かう毬花を見ながら、雅紀は考えていた。


―――ほんと、しっかりしてるよな。俺には勿体無いくらい出来た彼女だよ。まさか六個下の高校生に手を出すとは。俺はロリコンか?


思いに耽っていた雅紀は澄んだ声によって呼び戻された。

「ほら、ちゃんとお薬飲みなさいってば!」

「へいへい」

もー、と口を尖らせる彼女を可愛いと思い、雅紀にちょっとした悪戯心が芽生えた。
< 7 / 10 >

この作品をシェア

pagetop