風邪
―後日談―


「まさきのばかー!あたまいたいー!」

「ごめんって!」

熱を出して顔を赤くした毬花に雅紀は謝っていた。

毬花は見事に風邪を貰って、雅紀が看病をしていた。

「だから言ったのに!あたし受験生なの!やばいの!分かるよね?」

「ごーめーんー」

毬花の文句に適当に謝る。

「センター落ちたらどーするのよっ!恨んでやるっ!」

「落ちてもいいじゃん」

「はっ?最低!雅紀のばか!」
毬花は本気でご機嫌斜めのようだ。それでも気にせず雅紀は近頃考えていたことを言ってみた。

「だって俺、毬花くらい養っていけるよ?」

「えっ・・・」

驚いて絶句した毬花をいいことに雅紀は意地悪を言う。

「あ、毬花は俺のこときらいか・・・、」

「いや、違う違う!きらいじゃないよ!」

慌てて訂正する必死な毬花が可愛いくて雅紀は吹き出した。

「なによー?」

「いや、可愛いなと思ってさ」

毬花の目をしっかり見つめてから耳元で囁いた。

「俺のこと、すき?」

目を伏せて恥じらう毬花の答えを待った。

「すき、」
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