≡イコール 〜霊能力者へ 『霊視1』より~
「そんなぁ・・・」


命が助かっても 『植物状態』なんて・・・

やっと意識が戻っても

1人では 何も出来ない生活なんだろう・・・


それも いまだに・・・


オレは

30年近くも息子の世話をする

瓜生さんの両親の姿を 想像した

やりきれない気持ちで 胸がいっぱいになった


いや 中道さんと 島田さんは もっと・・・

もっと 心の中で たくさんの格闘があったに

違いない


こんな真面目な2人のことだ

きっと『結婚』も 随分迷ったんだろう

同じ『生きている』という『平等』の中で


『自由』と『不自由』いう『不平等』の中で


自分たちだけ『幸せ』になっていいのだろうか・・・と



苦しんだはずだ・・・


「でも・・・お2人は なんで この炊きだしの

手伝いを されてるんですか?」


「それは・・・」


と 中道さんが言いかけた時だった



「あの~ 生徒たちも全員 食べ終わったみたいですので

そろそろ テントを片づけようと思うのですがぁ・・・」


と話しかけてきたのは 教頭だった

人のいい顔をした教頭の髪は 汗でクセっ毛が

さらにウェーブを増していた

その 教頭の背後では 小津が自慢の腕力を

テントの撤去作業でも 日村 令子に見せつけようと

(多分・・・)

うずうずしている様子だった


「日村先生 うどんお召し上がりになりましたっ?

毎年 どんどん美味しくなるんですよねぇ

お2人のうどん!かまぼこなんか ありゃあ『特注』

でしょう?ねえっ!日村先生」
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