≡イコール 〜霊能力者へ 『霊視1』より~
「いや・・・その・・・」

オレは それ以上喋るのが恥ずかしくなり

口ごもった

「浅川さんは 3Fの個室よ 306号室

今は お母様も一緒にいらっしゃるわ

フフフ・・・」


ナースは 手の甲で口元を押さえながら

ナースステーションの中に戻って行った


「あ 有り難うございました・・・」

オレは ナースに聞こえたかどうか確認せずに

恥ずかしさのあまり 飛び跳ねるように3Fの階段へ

足をかけていた そして 一気に3Fまで上った



『306号室・・・ここだ』


その部屋は 階段を上って すぐ

正面左手にあった

オレは 部屋の前に立ち

ゆっくり息を吸った

そして フーッと 息を吐ききって


306号室の 扉を ノックした


『コンコンッ』


「はいっ」

部屋の中から 女性の声が応えた


ガラガラ・・・


「あらっ 奥村君っ!」

オレを見て 最初に声を発したのは

ハルの母親だった


「ヒカル・・・」


ハルは 病院のベッドの背を起こした状態で

枕を背中にあて ベッドに座っていた


「あ・・・ 奥村君 こちら どうぞ 座って」


ハルの母親は 病院に設置されてある

来客用の 簡易イスを差し出してくれた


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