≡イコール 〜霊能力者へ 『霊視1』より~
気を利かしてくれた・・・らしい


「えっ?仕事終わったって言ってなかったっけ?」


ハルは慌ててそう言ったが


「うん!でも あとデータ送っておかないと

いけないんだ!」


ハルの母親は フリーのライターだ

ハルから 以前聞いた分では 

一見 自由な仕事に見えるが 

結構 締め切り日の近い仕事が重なると

家の中は めちゃくちゃだそうだ

オレも 付き合っているといっても

ハルの家には

玄関までしか入ったことがないので

実際のところ どこまでメチャクチャなのかは

分からないが・・・



そう言いながら 片手で『ゴメン』の

ポーズを取りながら ハルの居る個室を

お尻の方から出て行った


とりあえず オレは 背負っていたリュックを

病室の床に降ろし ハルの母親が すすめてくれた

簡易イスに 座った


「・・・足・・痛い?」

まぁ お約束の質問かな・・・


「まぁ・・・ね  うん! でも 大丈夫!」


いつもの ポニーテールの髪型でない

ハルを見るのは 久しぶりだ

肩の下まである 髪が 少し大人っぽい


「まーた やせガマンすんな!って」


場を和ませるために おどけてみせるのも

お約束・・・

ハルは うっすらとだけ 笑った


「みんなも もう帰ったんだ」


「うん みんな 今日は塾サボるって言ってた」


「ふふっ みんな 結構ダシ抜いて 塾行くじゃない?」


「・・!かもね!」


少しだけ 緩んだ空気に オレは ホッとした
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