≡イコール 〜霊能力者へ 『霊視1』より~
オレには 樹花の気持ちがよく分かった


5年前 あの山の宿泊所で オレも

初めて『理解者』とも言えるべき

日村 令子に 出逢った時の

あのなんとも言えない 安堵感と高揚感は

他のヤツには分からないだろう


確かに 樹花の『霊能力』は 他の奴らと比べて

高い

恐らく『40』はあるだろう


ここ数年の経験で『20~30』と

『40』では 見え方や感じ方が

ケタ違いに 違うことを知った

だからオレの『50』という数字も

かなり 能力が高いほうだと言えるのが

徐々に分かってきた


オレも 目の前の樹花と話していて 

とても 楽だった 久しぶりに


そう・・・ハルの時以来かもしれない

話しをしていて こんなに落ち着ける相手・・・


ハルと別れてから 高校時代は誰とも付き合わなかった

ハルは 同じクラスの 橋本と付き合いだしたと

クリスマスシーズンに そう横山から聞いた


大学に入り 数人の女性と付き合ったが

どの 女の子も3ヶ月ともたなかった

オレが もたなかったのだ

付き合い始めるまではよくても

付き合い出すと まるで沢山の霊に

代わる代わる 憑依されたかのように

オレに ベッタリ頼ってくる


いや 実際 憑依かもしれない

オレの 『霊能力』が高いため

一緒に居る人たちを巻き込んで

霊が 成仏させてもらえるのを

望んでいたのだろう・・・


でも オレは 『供養』などしなかった

もう そんなもの『信じない』と決めたのだった


信じても 信じなくても もう 『関係ない』という

心境にまで陥る出来事が 5年前にハルと別れた

あの後 起こっていた 
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