≡イコール 〜霊能力者へ 『霊視1』より~
坂本は これといって ハルの味方を

する風でもなかった


「それより お前こそ 身体もういいの?」


「うん・・・」

今度は 坂本が黙った


「風邪だったんだっけ?」


一瞬 坂本は 思い詰めたような表情をして


「実はさ・・・ オレ・・・ 

病気じゃなかったんだ・・・

母さんがさ・・・『行くな』って 泣いちゃってさぁ」


坂本は 苦笑いを してみせた


『母さんが・・・』に オレは 坂本の母親

というより 宮田 奈津子 を思った

やはり 『後悔』の気持ちが 息子を

行かせたくないのだと そう思った


だが そうではなかった


「オレ・・・ 今まで 誰にも言ったこと

なかったんだけど・・・ リンコにも・・・」


リンコにも 言ってないほどの 

坂本の 『秘密』とは・・・なんだろう


「オレ・・・兄貴がいるんだ」


意外だった  確かに 坂本の家に

何度か遊びに行っていて 一度も

坂本の 『兄』の顔を 見たことがない

その前に 『存在』すら聞いたことなかった


「へぇ~ そうだったんだ・・・」


でも なんで今頃 そんなコト 

告白したのだろうと 疑問に思った


「俺の兄貴・・・5年前から 植物状態なんだ」


オレの 腹の中で 何か黒いモノが

渦を巻くような 感覚が走った


ハルが 昨日話していた 5年前に

オレたちが 滑り落ちた場所で 大けがをし

そのまま 植物状態になった生徒・・・



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