≡イコール 〜霊能力者へ 『霊視1』より~
頭を下げ続ける リンコたち親子に

坂本の母親は 視線を移すことはなかった

ただ 床の一点を 見つめながら


「そんなことされても…」


と 言った気がした


「申し訳ありませんっ!!」


リンコの母親と リンコは

ずっと顔を上げずに

頭を下げたままだった


オレと ハルの母親は その状況を

かたずを呑んで 見ていた


すると 坂本の母親が


「もう・・・やめてください・・・

そんなこと・・・意味・・ありませんから

やめて・・・・・・・・」


と言ったかと思うと…



「・・・どうして?」


坂本の母親の

『どうして?』

という言葉に リンコの母親は

下げてていた頭を上げた


「えっ?」


坂本の 母親は 弱々しい声で

しかし 恐ろしく 見開いた目で

リンコの 母親を見た

その 『形相』に リンコの 母親は

後ずさりしていた


同じく リンコも 声が出ないほどに

震え上がっている


「・・・どうして 私だけ・・・

こんな目に遭うの・・・?どうして・・・

息子が 2人とも・・・ こうなってしまったの?

・・・どうして・・・夫は・・・

帰ってこないの・・・?」


坂本 奈津子  旧姓 宮田 奈津子は

すでに『魂』を 何者かにとって代わられたかのように

『普通』の『人』の状態を 保ってはいなかった
< 162 / 307 >

この作品をシェア

pagetop