≡イコール 〜霊能力者へ 『霊視1』より~
オレは 再び呼び止めた


「オレが 持って行きます

それで 坂本は 何号室ですか?」


看護婦は ニコッと笑った


「あら 助かるわ

今の患者さんは 2階よ

2階の 201号室」


そう言いながら オレに

坂本の 変わり果てたスニーカーを

手渡した


「有り難うございます」


それを聞いて リンコ達親子は

先に エレベーターの方に向かった

オレは 内心 坂本の病室が

ハルと同じ 3階じゃなくて良かったと

ホッとした


「じゃあ 私はここで・・・」


ハルの 母親も そう言うと

階段を上って行った


さっきの看護婦も 再び階段を

上ろうとしたが 足を階段にかけた途端

もう一度オレに話しかけた


「そうそう 昨日 カノジョとは 会ったの?」


余計な 質問だった


「はい・・・お陰様で・・・」


「そう・・・ケンカでもした?」


オレは この看護婦に 心でも

読まれたのかと思い 慌てた


「えっ? なんでですか?」


「昨日の夕方 食事を片づけてたら

カノジョ 全然食べてなかったから

『どうしたの?』って 尋ねたの」


「はぁ・・・」


食事がのどを通らなかったのは

ハル同様オレも 同じだった


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