≡イコール 〜霊能力者へ 『霊視1』より~
もしかして 日村令子 が『見えている』のは 

オレだけ?


いや、さっき校長が『日村先生』と言っていた

だから、きっと本物…


いや、待て…

もしかすると、別にジャージを着た教育実習生が居て

オレの知っている 日村令子とは 

 
『別』


の『日村先生』がこの中に居るのかも…



ドンッ!


突然、後ろから激しく背中を押された

リュック越しだったので痛くはなかったが、バランスを崩し、結構よろけた


「な、なんだ?」


振り向くと

ハルのふくれっつら………発見!



「もぉ!さっきから、ず~っと呼んでるのに、全然振り向かないし!

待ってて!ってさっき教室で打ち合わせしたわよねぇ!

なんで どんどんどんどんどんどんどんどん……先に行っちゃうワケ?」



モーレツに怒ってるな…


あれ?バスからずいぶん離れたな

いつの間にか出発して、学校前から、バスで山の近くまで運んでもらっていたのだ


そして、すでに何分か歩き出していた…


オレの1メートル前を

たった今オレに追いついたばかりの ハルが

ドスドス という音が聞こえそうなくらいの勢いで歩いている


「ゴメン!ちょっと、考え事しててさ…」


今度は、ハルが振り返ろうとしない

後ろからみても、ほっぺたがふくらんでいるのがわかる


「ハル!」


5秒くらい沈黙のあと


「ふぅ~ん、考え事ですか!

私の声が聞こえないくらい『大事な』考え事なんでしょうから

どうぞ引き続き『お考え』下さい。」



オレの顔を見ることなく、ハルはスタスタ歩いている


「もう、終わった」


それだけ言って、ハルに追いつく為にオレも早足になった


日村令子はどこだろう?

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