≡イコール 〜霊能力者へ 『霊視1』より~
「もうすぐ 麻酔が切れますので

麻酔が切れたら 意識は戻ると思います

麻酔が切れて しばらくすると

怪我した部分の『感覚』が戻りますので

『痛み』も出てくると思います

あまり 痛がるようでしたら

注射か坐薬で 痛み止めをしますので

何かあったら 看護婦を呼んで下さい」


島田さんは 憎いはずの女性に

全くの 『赤の他人』のように

淡々と話していた


これが よく大人たちが使っている

『プロ意識』というモノなのか


オレは 昨日 中道さんの隣で

涙ぐんでいた 熱い 島田さんと


顔色一つ変えず 症状の説明をする

クールな島田さんを重ねて 


そう 思った


坂本の母親は 島田さんの話を

黙って聞いていた

島田さんの説明が 一通り終わっても

島田さんの方を 見ることなく


「分かりました・・・」


と 言っただけだった


「それじゃ・・・」


と 言って病室を出ようとした

島田さんに 坂本の母親が 声をかけた


「島田くん・・・」


オレは 坂本の母親が 何を言い出すのか

ハラハラした

『これ以上 こじれませんように!』

それだけを 思った


坂本の母親の 呼びかけに

島田さんは ふと 立ち止まった 
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