≡イコール 〜霊能力者へ 『霊視1』より~
「ウウウウ・・・ウウ・・」

坂本は かろうじて開く 右目でオレを見た

オレは 坂本が何か言いたそうなのを察知し

口元に 顔を近づけた


「どうした?何か言いたいのか?」


「ウウ・・・ッエ・・」


「よく 聞き取れない・・・」


「アエ・・ッエ・・・」


今度は よく分かった

『かえって』

坂本は こう言ったのだ

「帰った方が いい?」

オレは 一応 確認した

島田さんが 『患者が疲れる』と言っていたのを オレは思い出した


「ごめん・・かえって疲れさせたのか

分かった また 明日来るからな!

学校終わったら 即行で!じゃあな ゆっくり休めよ」


坂本は 頷く代わりに 右目をゆっくりと 閉じまた開いた

「それじゃ 坂本のお母さん 明日また来ます

あと・・・オレに出来る事があったら 何でも言って下さい」


オレは そう言いながら ナースコールのボタンを 坂本の母親に手渡した


オレは 坂本の 荒い息だけが聞こえる 病室を出た

廊下を真っ直ぐ歩き ナースステーションの横を通り

1階への階段を下りようとした時だった

ナースステーションから 一人の看護婦が パタパタと小走りで出て行った

オレは 気になって 看護婦の後ろ姿を 見つめた

やはり 入って行ったのは 坂本の病室だった

オレは 階段を下りる足を止め もう一度2階の廊下を戻り歩いた

もしも『急変』だったら・・・友達として 心配だった

病室は 今度は扉が閉められていたので オレは近くまで近づいた

しかし 扉に近づかなくても 中の様子は分かった


「フウーーーーッ・・ウウウーーーーッウーーーーー」


『・・・坂本?!』

ものすごいうめき声だった
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