≡イコール 〜霊能力者へ 『霊視1』より~
後ろから 視線を感じ オレは振り返った

オレの後方から 日村 令子が 体育館に向かうため 数人の教育実習生と 歩いてきていた


オレは リンコに

「先に行ってて」

と促し リンコを 先に体育館へ 向かわせた


オレは 日村 令子が オレの前に歩いてくるまで その場でじっと待った


「おはよう」

日村 令子から 挨拶してきた

「・・・おはよう・・ございます」

数人の教育実習生は 日村 令子を残し 先に体育館へ向かった


オレの 殺気だった目に 日村 令子も 気づいたようだ


「・・・聞いたの?」


「何をですか?」


本当は 分かっていた


「坂本の兄さんが 亡くなったことですか?」

オレは やはり 黙っている事が出来ず 続けて喋った

この感情を 抑える事ができなかった 

マグマが地中にいることに耐えきれず 吹き出すかのように オレは 言葉を吐き出した


「この前は 坂本・・・今度は 坂本の兄さん・・・

いつに なったら 『人』を救えるんですか・・・

『霊に尽くす霊能力者』だから 人間の命なんて どうでもいいんですか?

今度もまた・・・ 『供養は成功した』って 言うんですか!どうなんですか!!」


日村 令子は 黙って聞いていたが


「・・・そうよ」


と 答えた


オレは せめて 今回は 今回だけは


『失敗だった』


と言って欲しかった


そうしたら そう言ってくれたなら・・・


同じ『力』を持つ者として 一緒に泣くことくらい出来るだろう・・・


そう 思っていた
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