≡イコール 〜霊能力者へ 『霊視1』より~
「では ご家族の方がお見えになったら ナースコールなさって下さい

先生から 容態の説明がありますので・・・」


そう言って 看護士たちは 部屋を立ち去った


『樹花 一体どうしたんだ・・・』


オレは まだその時 樹花の頭の中で 新たな『時限爆弾』が動き出した事を

知らないでいた

いつ爆発するか分からない『脳腫瘍』という名の爆弾


その時 オレの左側のジーズンズのポケットがブルいだした

先ほど 看護士に携帯電話を使っても良いかと確認していたので

オレは 左のお尻のポケットから 樹花の携帯を取り出した


『誰からだろう・・・』


オレは 迷ったが 樹花の携帯への『発信者』を確認した


『スマイルコート?…あぁ!』


オレは半年前 樹花がFP講座の無料体験レッスンに行ってくると言ったのを思い出した


「どこに?」


と尋ねると


「『スマイルコート』ってとこ!たぶん、みんなが笑顔になれるとこなんだよ、きっと!」


と 樹花らしい解釈を説明してくれた

何の用かは分からないが 出た方がいいかどうしようか迷った

迷っているうちに 電話はコールをやめた


「ふう~」


と 思ったのもつかの間 またスグ電話がかかってきた

『しつこいな~ 緊急の用事かな・・・』

オレは 取りあえず『受話』ボタンを押した


「もしもし・・・松永さんの携帯でしょうか?」


女性の声だった

女性と分かって オレは何故かホッとしていた


「あ・・・はい そうなんですが 事情があって松永は 今電話には出られません」


「・・・・・」


電話の相手は一瞬黙ったが すぐまたこう言った


「では いつ頃かけ直したら お出になりますか?」


かなり丁寧な口調だ
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